2015年12月10日

氷河時代の下総(3)

地域とともに活躍する川村学園女子大学





氷河時代の下総(3)−気候変動の要因−

ここでは、氷河時代(気候変動)を引き起こす原因について簡単に触れてみたいと思います。



1.地球の自転・公転による気候変動

セルビアの有名な天文学者、ミリューシン・ミランコビッチは、

@地球が太陽を回る公転軌道が円くなったり、楕円になったり一定ではないこと、
A地球が太陽の周りを回る公転軌道面に対して、地球の自転軸が23.4度傾いており、

これが変化することなどを指摘しています。

これらのことは、太陽からの日射量が時代によって繰り返し変化すること(ミランコビッチサイクル)により気候変動が生じる、すなわち、前述しました氷期と間氷期が交互に引き起こされるということが考えられています。



2.太陽活動の変化による気候変動

 地球の気候をコントロールしている要素には、まず、地表温度にあります。この地球表面温度は、大局的に、地球が太陽から受けるエネルギー(主に紫外線や可視光線など)と逆に地球から放射するエネルギー(主に赤外線)のバランスで決まってきます。

このことは、当然のことながら、太陽放射エネルギーが大きく、地球放射エネルギーが小さければ、地球は次第に温暖化になり、その逆であれば、寒冷化となるわけです。実はご存知のとおり、太陽活動は一定ではなく、変動していることが分かっています。

太陽活動の変化を知る一つとして、昔から太陽表面に小さく黒くなっている部分(黒点)の存在が知られており、黒点はその周囲の温度よりも低くなっていますが、その周囲ではむしろ温度がより高くなっています。黒点の長い観測から、黒点が多くなるときには太陽の活動が大きくなり、少ないと小さくなる傾向があります。

このことは、気候変動の要因と考えられますが、最近の研究では、こうした太陽活動の最大期と最小期が単純に温暖化と寒冷化をもたらすのではなく、むしろ暖かくなる地域と寒くなる地域、さらには湿潤な地域と乾燥化地域といった具合に地域差を大きくしたり、小さくしたりするシステムとなっていることが指摘されています。

ともかく、太陽活動の大小が少なくとも間接的には、気候変動に関与していることが考えられます。



3.プレート運動による大陸の配置による気候変動

今からおおよそ3億年前の古生代末期には、大きな大陸が一つであったと考えられています。この大陸はパンゲア大陸とよばれています。

この時代には、海岸線の総延長が現在よりも少ないため、波打ち際から海水に取り込まれるCO2の量が少なく(大気中のCO2濃度が高い)、温室効果によって気候の温暖化が続くと考えられます。

しかし、中生代に入り大陸が分裂すると、海岸線が長くなりCO2が大量に海水に吸収される(大気中のCO2濃度が低い)ため、寒冷化にすることが考えられます。しかし、こうした大陸の分裂による気候変動は単純ではなく、大陸の分裂や移動の際には、プレートの沈み込みに伴って火山活動が活発になることにより、CO2量は大量に大気中に放出され、温暖化を引き起こすことにもなります。

このように、大陸の移動によるCO2量の変化が気候変動に少なくとも関与していることが指摘されています。



4.大気中の二酸化炭素量の変化による気候変動

 上記の3でも説明したように、長期的にみるとCO2の循環システムは、大気と海洋または岩石との間を行ったり来たりしています。例えば、大気中のCO2は、雨や海水面から海に吸収されています。陸からは岩石や土壌の風化によって、海に金属イオン(Ca2+、Mg2+、K+など)が鉱物中から溶け出します。これらが海中で結合すると、例えば炭酸カルシウム(CaCO3)を成分とする鉱物が作られます。石灰岩の成因の一つはこのようにして形成されています。

また、海水中には、炭酸カルシウムからなる殻をもった二枚貝や巻貝、さらにはサンゴなどの生物が多数生息しており、これらも基本的には同様なメカニズムで炭酸カルシウムを造っています。

このようにCO2は、一時的に岩石や生物に閉じ込められますが、火山活動等に伴って、これらのCO2を含む物質は再び大気中に放出されることになります。これは「炭素循環」といわれるメカニズムが働いているためです。

このメカニズムは面白いことに気温の変化にかなり左右されることが指摘されています。温暖化すると、陸上で風化作用が促進され、さらに海水中に閉じ込められるCO2量が多くなります。すると、温室効果が減少することになり、逆に寒冷化が引き起こされます。さらに寒冷化が進むと風化作用や海水によるCO2の吸収が抑制されるため、逆に温暖化が始まります。このようにして、大気中のCO2濃度が変化することにより、気候変動がもたらされると考えられています。

 以上、基本的な気候変動の要因を述べましたが、実際には決定的要因は、まだ分かっていません。もしかしたら、これら複合的な要因で気候変動が起こっているのかもしれません。



(4)につづく




教育学部 社会教育学科 教授 二上政夫





posted by 園遊会 at 11:26| Comment(0) | 東葛我孫子発見伝