2017年09月14日

エジプトの祭(3)

地域とともに活躍する川村学園女子大学





エジプトの祭り:古代エジプトとイスラームのはざまで(3


3. キリスト教の祭り・その他の祭り

 「そよ風の祭り」の説明の際、エジプトのキリスト教徒、コプト教会のイースターについて述べました。現在も、エジプトの人口のおよそ1割は土着のキリスト教教会である、コプト教会に属する人々です。コプト教会は451年のカルケドンの公会議の決議に反対したアレクサンドリア主教たちがその後ビザンツ教会から分離しつくりあげた教会です。教義についてここでは詳しく述べませんが、暦は東方教会のそれに従い、カトリック教会やプロテスタント系教会とはずれがあります。

 コプト教会の主な祭りはクリスマスとイースターです。この時期になりますと教会はもちろん、キリスト教徒が多い地区や外国人の多い地区では町全体がクリスマスやイースターの雰囲気になります。この他にもエジプト各地ではその土地にまつわるコプト教会の聖人や古くから伝わる聖ジョージの祭りなどが開催されており、祭りにはキリスト教徒のほか、地元のイスラーム教徒も参加しています。

 例えば聖母被昇天の祝日(アサンプション)には、中部エジプトのアスユート、ミニヤー、ソハーグなどでは盛大なお祭りが開かれます。これにはキリスト教徒とともにイスラーム教徒も祭りに参加するそうです。このようなお祭りは、各地方最大の縁日として、近郊の農村から人を集め商売が繁盛する、そういった役割も果たしているようです。

 キリスト教の祭りの流れを汲みながら、イスラーム教徒のために姿を変えたのではないかと思われるものが、イスラームにおける聖者の祭りです。最も有名なものとしてはエジプト北部のタンターという町で毎年行われるアフマド・バダウィー生誕祭(マウリド)が挙げられます。アフマド・バダウィーは13世紀に生きたスーフィーの聖者で、その崇敬は現在まで続いているのですが、祭りに関してはイスラームのものでありながら、古代エジプト時代やキリスト教時代の慣習が色濃く反映されているように思われます。

 以上述べてきましたように、エジプトの祭りには全世界のイスラーム教徒に共通する祭り、古代エジプト時代から続く祭り、そしてキリスト教の祭りなどがあります。ナイル川の増減にあわせた農事暦のなかで日々の暮らしを営んだ人々、生活のなかで大切にされてきた様々な慣習、そしてキリスト教やイスラームの信仰。このようなものに想いを馳せることができるのがお祭りの行事となります。


エジプトの祭 写真3.jpg



<キリストの降誕(ナタヴィティ)>






文学部 史学科 講師 辻 明日香




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