2017年06月08日

花祭り―誕生仏立像の諸相―(3)

地域とともに活躍する川村学園女子大学





第3回 東大寺誕生仏立像と大仏



奈良・東大寺には国内を代表する誕生仏立像が現存しています(前回の画像参照)。この像は奈良時代半ば、8世紀後半に造立されたと推定されており、金銅製で像の高さは47.5pもあり、国内の誕生仏立像のなかでは出色の大きさです。現在、香水を受ける灌仏盤とあわせて国宝に指定されています。この誕生仏立像は同じ東大寺の主尊としておなじみの大仏さまの完成前後につくられたと推測されています。

大仏は正式には盧舎那仏坐像といい、天平15年(743)に聖武天皇によって発願(大仏造立の詔)され、天平勝宝4年(752)4月9日に開眼供養会が行われています。この法会には聖武上皇、光明皇太后、孝謙天皇をはじめ僧侶や俗人などあわせて1万人以上が参加したと伝えられ、かつてない盛大な仏教行事となりました。

この大仏開眼供養もじつは花まつり、お釈迦さまの誕生日と関わりがあります。なぜなら、この法会の日付はじつは当初の予定から順延されたことが記録から知られており、本来は4月8日であったことが知られているからです。

さらにこの開眼供養の時点では、大仏はまだ完全に完成しておらず、台座や光背も揃っていない状態であったことが当時の文献から判明しています。では開眼供養を急いだのはなぜでしょうか。これには752年という年が深く関係しています。日本に初めて仏教が伝えられた年代は諸説ありますが、『日本書紀』は欽明天皇13年(552)としています。この年を踏まえると、大仏の開眼供養が行われた752年は仏教伝来から200年目に当たるのです。大仏の開眼供養はこの大きな節目の年の、お釈迦さま生誕の日にあわせたのだと考えられています。




真田3.jpg



                
東大寺大仏





【参考文献】
吉村怜「東大寺大仏開眼会と仏教伝来二百年」『美術史研究』9号、1972年


文学部 日本文化学科 講師 真田 尊光




posted by 園遊会 at 14:44| Comment(0) | 祭・祀・政
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