2012年10月17日

公的年金

地域とともに活躍する川村学園女子大学





現在、年金の問題は、シルバー世代ばかりでなく、むしろ若い人たちにとって大きな関心となっています!

今回は、公的年金について、基本的な知識と、情報をお届けいたします。



公的年金とは




1 公的年金の仕組みと役割

(1) 公的年金の仕組み

@ 賦課方式による世代間扶養の仕組み 

 日本の公的年金は、サラリーマン、自営業者などの現役世代が保険料を支払い、その保険料を財源として
高齢者世代に年金を給付するという「賦課方式」による「世代間扶養」の仕組みとなっています。




70公的年金制度における賦課方式による世代間扶養の仕組み.jpg




 つまり、将来、この負担している現役世代が高齢となったときには、その時代の現役世代が拠出した保険料が
年金に充てられることとなっています。

自分が拠出した保険料が積立金として運用され、将来年金として戻ってくる「積立方式」とは異なっています。




70年金制度における賦課方式と積立方式.jpg




A 長寿化や核家族化の進行と老後の生活

 戦後、経済の発展、生活水準の向上・安定、保健医療の充実等により、
日本人の平均寿命は大幅に伸びてきました。

 65歳での平均余命は、男性で、1947(昭和22)年の10.16歳から2011(平成23)年の18.69歳へ、

女性では、同じ期間に12.22歳から23.66歳へと倍近くに伸び、現役引退後の老後の生活が長くなって
きています。


平均寿命と65歳における平均余命縮小1.jpg




 日本経済の発展は、第1次産業(農業、林業、漁業)から第2次産業(鉱業、建設業、製造業)、
第3次産業(卸売・小売業、サービス業、電気・ガス業、金融・保険業、情報通信業、教育、医療・福祉等)への
大幅なシフトを引き起こしました。


 その結果、農村社会に典型的にみられた高齢者が長男家族や孫と一緒に暮らすという伝統的な3世代同居の家族が
次第に少なくなっていき、高齢者の単身の世帯や高齢者夫婦の世帯が増えてきています。

 1980(昭和55)年には65歳以上の高齢者がいる世帯の50.1%が3世代世帯でしたが、
2010(平成22)年では16.2%にまで縮小しています。逆に高齢者だけの単身世帯や高齢者夫婦のみの世帯は、
1980(昭和55)年の26.9%から2010(平成22)年の54.1%へと、今やその半数以上となってきています。




☆65歳以上の者のいる世帯の世帯構造別構成割合の推移1.jpg





B 私的に行う老親の扶養と社会全体での仕組みでの支え合い

 
  長寿化により平均寿命が大幅に伸び、また、核家族化により高齢期の夫婦だけや高齢者1人だけでの暮らしが増え,
子どもによる私的な扶養や貯蓄等に頼って高齢期の生活を送ることを困難にしています。

 「世代間扶養」は、一人ひとりが私的に行っていた老親の扶養・仕送りを、社会全体の仕組みに広げたものです。

 また、現役世代が生み出す所得の一定割合を、その年々における高齢者世代に再分配するという「賦課方式」の
仕組みをとることにより、物価スライド(物価の変動に応じて年金額を改定すること。物価の上昇に対応でき
安定した年金給付となる利点がある。)によって実質価値を維持した年金を生涯保障するという、
私的な貯蓄では実現が難しい、高齢期の安定的な所得保障を可能にしています。

 世代間扶養の仕組みは、支える側の若い世代にとっても、自分の老親への私的な扶養に伴う経済的負担についての
心配を取り除き、あるいは軽減する役割を果たしています。




C 積立金と賦課方式

  2010年度末、日本の公的年金制度全体で積立金は約170兆円で、老齢年金、遺族年金、障害年金などの
年間給付費総額は約49兆円となっています。(厚生年金基金が代行している部分は含まれていません。)

この積立金は、年金の給付費全体のうち保険料拠出によって賄う分(残りは、国庫負担・公経済負担により賄われます。)の約4.9年分に相当します。

(積立金は、これまでの保険料拠出のいわば貯蓄に相当するものです。積立金には国庫負担による
財源は入っていません。)

 日本の公的年金制度は、例えば、団塊の世代や団塊の世代のジュニアの世代では
年金受給者が増加するといった年金受給者や現役世代の人口構造の変化に、積立金も活用しながら、
基本的には賦課方式で運営していく仕組みとなっています。




(2) 公的年金の役割

@ 高齢者世帯の生活の支え

 2010(平成22)年度末現在、公的年金の受給権者は約3,800万人で、約51.1兆円の年金支給が行われています。

  2011(平成23)年で、高齢者世帯の1世帯あたりの平均所得金額は、307.2万円で、そのうち
公的年金・恩給が約7割(207.4万円、67.5%)となっています。

ちなみに、仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得の合計額は、16.7万円、5.4%と小さな割合です。





年金は高齢者世帯の収入の7割cutting縮小.jpg




また、公的年金・恩給が高齢者世帯の総所得に占める割合をみてみると、
約6割の世帯(56.7%)が年金収入だけで生活をしています。




6割の高齢者世帯が年金収入だけで生活cutting縮小.jpg




A 万一の時の障害年金や遺族年金による支え

 公的年金は、高齢になったときの老後の対応だけではなく、病気や怪我で働けなくなったときには、障害年金が、
また、一家の生計を支える方が亡くなったときには、残された家族に遺族年金が支給されます。
 

このように、公的年金制度なしでは、日本の社会は成り立たないほどにその役割は大きくなっています。




2 につづく



生活創造学部  生活文化学科 教授  吉武 民樹





 


posted by 園遊会 at 16:02| Comment(0) | 生活
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