2013年08月10日

新種化石発見とその命名(2)

地域とともに活躍する川村学園女子大学



新種の化石発見!



野外調査 −感動と恐怖−

 野外調査に際しては、私は次のようなものを準備して山に入ります。少し大きめのリュックサック(時には背負子)、
大型ハンマー(3〜5kg)、小型ハンマー(1kg)、タガネ、クリノメーター(地層を測る器具)、調査バック、野帳、カメラ、
新聞紙(化石を包むため)、大型の鈴(熊避けのため)など。


さて、調査地ですが、北海道のほぼ中央部には、南北に細長く(浦河から宗谷岬まで:日高山脈、夕張山地、天塩山地
などの山間部が中心)中生代白亜紀に主として浅い海に堆積した蝦夷層群(えぞそうぐん)(およそ1億2千万年〜
7千万年前)という地層が分布しています。私はここを研究のフィールドとしています。

この地層からは、アンモナイト(図2)を始めとして、二枚貝、巻貝、魚、エビ、ウニなど多種多様な海生生物の
保存状態の良い化石が見い出されます。

また、極めて希ですが、海に住んでいた首長竜や陸に住んでいた恐竜の化石も見つけられたことがあります。

なお、北海道はアンモナイトの産地として、世界的に知られています。


 私にとって、この北海道で化石の野外調査をすることは、最大の楽しみでありますが、その反面、苦しみでもあります。



化石 図2、図3.jpg






 ここでは、約5千万年間の生物の出現や絶滅の様子を垣間見ることができ、本題である新種の化石を発見することも
けして珍しい事ではありません。ハンマーでノジュール(化石の入っている白っぽい玉石のような塊)(図3)を割った
瞬間に、1億年前の生物が再び“呼吸”をするかと思うとその時のわくわく感は言葉で表すことができない程の感動が
あります。

時に大きさが50cmを越えるような(重さも50kgを超えます)アンモナイトを山奥で見つけると、「やった!」という思いが
湧き上がります。それと同時に、どうやって道路まで運ぼうかと悩みますが、結局、背負って運ぶしかありません。

斜面を這いつくばったりすることもあり、大きなアンモナイトを背中に背負ったその格好は「蝸牛(かたつむり)」状態に。

かっこ悪いですよね!


 一方、こうしたアンモナイト産地は、ヒグマの生息地と重なっています。調査中にヒグマの糞や足跡など(図4、5)を
みると、恐怖が体中を走り回ります。この恐怖心は、実話を基にしたドキュメンタリー小説『羆(くま)嵐(あらし)』
(吉村 昭 著)を以前に読んだことに起因しているのかもしれません。



図4,5again 2.jpg






 私の40年間の調査の中で、至近距離(5m位離れたところ)でヒグマと出くわしたことが一度だけあります。
その瞬間は、心臓が口から出そうになるとは言いますが、正にその状態。

その時の尋常ではない心臓の鼓動の高まりは、私の脳裏から今も離れません。

その時、熊と私は、お互いに驚いて反対方向?に走ったものと思います。実は熊はどうしたのか、
必死のあまり記憶にありません。この時ばかりは事故にならず、極めて運が良かったと今でも感じています。


なお、北海道のアンモナイト産地の多くは、国有林の中にあります。

入山する場合は、事前に森林管理署の入山許可を必ず得る必要がありますので、注意して下さい。




(3)につづく


教育学部 社会教育学科 教授 二上政夫




posted by 園遊会 at 13:42| Comment(0) | 恐竜・化石
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